本研究は、肺腫瘍・胸腺腫瘍の患者さんが対象です。大阪大学医学部附属病院呼吸器センターで、「肺腫瘍、胸腺腫瘍患者さんの臨床検体（組織や血液など）を用いたゲノムプロファイリングに関する研究へのご協力のお願い」に同意された患者さんの血液と、生検や手術で摘出された標本のうち、病理組織検査で使用しない余剰検体を研究試料といたします。対象の病気は肺腫瘍・胸腺腫瘍です。
本研究は多施設共同研究で、大阪大学医学部附属病院が主幹施設になっております。肺腫瘍・胸腺腫瘍の患者さんの凍結組織やホルマリン固定パラフィン包埋試料を用いて、遺伝子の塩基配列解析などの肺腫瘍・胸腺腫瘍の包括的なゲノム解析を行います。腫瘍のみに異常を起こしている遺伝子を確認するために、血液からは核酸（DNAなど）を抽出しコントロールとして用います。これらの腫瘍の成り立ちを解明し、有効な治療薬の選択や新たな治療薬の開発に道を拓くものです。解析期間を含む研究期間は、研究許可日〜2024年3月31日までを予定しています。
本研究で肺腫瘍・胸腺腫瘍の遺伝子異常の特徴や合併症である自己免疫性疾患との関連性が遺伝子の観点で明らかになれば、分子遺伝学的な特徴に基づく抗がん剤や分子標的薬剤の選択、標準治療法の確立、さらに新たな治療薬の開発につながります。
次世代シークエンサーなどの革新的な技術開発によって、多種多様な遺伝子の情報を大規模かつ高速に得ることが可能となってきました。これは腫瘍に関する遺伝子異常の情報のみではありません。本研究の目的は、肺腫瘍・胸腺腫瘍の原因となる遺伝子等を特定すること、さらに胸腺腫瘍に関連する自己免疫性疾患との関連性や肺腫瘍・胸腺腫瘍に集簇するリンパ球の機能を解明することです。本研究は多数の施設との共同研究で、手術やCTガイド下生検によって採取され、保存されている凍結組織やホルマリン固定パラフィン包埋試料を使用し、腫瘍部組織と非腫瘍部組織の一部から、核酸（DNAなど）を抽出します。以下の研究組織等に設置されている次世代シークエンサー等の最新のテクノロジーを用いて、網羅的に遺伝子塩基配列の解析や遺伝子の発現などの解析を行います。主に、大阪大学や国立がん研究センターに設置されている次世代シークエンサー、東京大学医科学研究所もしくは次世代シークエンス解析技術を持つ第三者に委託して解析を行います。この研究のために、予定された手術の方法や切除範囲が変わることはありません。通常の顕微鏡などによる病理組織検査に支障を来さない場合のみ、凍結組織は採取され使用します。研究実施期間は5年間です。あなたの遺伝子解析データは、研究用にデータを提供する公共のデータバンクであるがんゲノム情報管理センター（C-CAT、国立がん研究センター 研究所に設置）やNational Bioscience Database Center（NBDC）を介してDDBJ（DNA Data Bank of Japan）に匿名化のもと提供されます。外国での利用も含め厳正な審査を受けて承認された場合のみデータが利用される可能性があります。この研究では、患者名、カルテ番号を伏せた状態で、あなたの臨床情報を国立がん研究センターが管理する臨床情報収集システム（Electronic data capture: EDC）に電子的に登録される場合があります。この他に、提供されたデータ（遺伝子情報や臨床情報）は、国内外の大学や研究所、治療や診断のために薬や医療機器を開発する国内外の民間企業などにより、人の疾患克服に貢献する医学研究に使用する可能性があります。その際、試料や情報を提供くださったお一人おひとりのプライバシーと人権を厳格に守るように様々な手立てをとっています。
情報：病歴 等
試料：血液、手術で摘出した組織 等
本研究に関するご質問等がありましたら下記連絡先までお問い合わせください。ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて、患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出下さい。この場合も患者さんに不利益が生じることはありません。
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2
大阪大学大学院 医学系研究科 医学専攻 がんゲノム情報学
FAX：06-6879-3360 TEL：06-6879-3369
担当者：呼吸器・免疫内科学 高田創
大阪大学大学院 医学系研究科 医学専攻がんゲノム情報学 谷内田真一
