免疫内科病棟

免疫内科の病棟は阪大病院の東12階に位置し、窓からは南に万博公園に広がる緑と太陽の塔を見下ろし、遠くに梅田の高層ビル群を眺めることができます。病棟は内分泌・代謝内科と合同で、免疫内科としては責任病床17床を割り当てられています。感染症や臓器障害が強い場合は入院加療が必要な事が多く、時に病床数を超えた入院患者数になることもあります。病棟では医療チームの一員として看護師も協力的で病棟医師と良好な関係を築いています。また、病棟医師付きの秘書が一名詰所に在籍し各種書類の処理を補助してくれます。

病棟の電子カルテはネット接続されており、2画面のうち一つをカルテでもう一つをネット検索に使用することができて大変便利です。病棟から大阪大学が契約している医学雑誌や電子教科書UpToDateにもフリーでアクセス可能で、必要な文献や情報が病棟ですぐに手に入ります。各種免疫疾患の分類基準や治療ガイドラインは免疫内科ホームページにも掲載しており、ブックマークに追加しておけば、ネットやスマートフォンからいつでも確認できるよう情報を整備しています。

病棟業務の実際

免疫内科の入院疾患では全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、各種血管炎、強皮症、多発性筋炎/皮膚筋炎が多く、初発症例や市中病院で難しい症例の紹介入院、外来フォロー中の増悪や感染症併発などで入院されます。診断のための関節エコー、関節液試験穿刺、腎生検、口唇生検、筋肉生検は随時行っています。症状や臓器障害が全身に及ぶことから一人の患者に阪大病院の他の専門科が共観に付く事があり、他科の医師とも意見を交換します。集中管理が必要な場合には阪大病院のICUで管理されます。

病棟では教官1名が全体を統括し、4名前後の医員が主治医として診療にあたります。医員は市中病院で初期・後期研修を修了した頃に大学に戻ってきた医師が多く、これまでの臨床の仕上げとして阪大病院での診療を経験することになります。また、病棟ではスーパーローテーションで1~3名の1、2年目初期研修医が研修し、さらにクリニカルクラークシップの学生が研修医の下に付く事があり、研修医は屋根瓦方式で指導を受けたり教えたりしています。初期研修医や実習学生は免疫内科の専門研修のみならず、全身を診療対象とする免疫疾患や様々な感染症を通じて一般内科医としての研修を積みます。大学院進学を希望する医員は臨床に従事するとともに、大学で催される様々なセミナーにも参加し、情報を収集し所属教室や研究テーマの検討をします。病棟が落ち着いておれば週末に実験を手伝う場合もあります。病棟で始めた臨床研究を大学院に進学してからも継続して行き、複数の研究テーマを持つ場合もあります。

病棟カンファレンス

病棟の週間行事として、病棟医師チームでの入院患者検討会を火曜日と金曜日に行なっています。電子カルテを前にして、一例一例のカルテ、検査値、画像データを複数の病棟医師の眼を通し、鑑別に漏れがないか、治療方針に問題がないか具体的に確認検討していきます。免疫内科教室全員による症例検討会は水曜日に行なわれ、主に研修医や学生がモニター2画面を使って症例提示をします。研修医と学生を含めると30名以上が集まり熱気が漂います。免疫内科教室にはサブスペシャリティを持っている医師も多く、各医師の出身病院での経験など、この検討会では様々な意見が飛び交います。カンファレンスを通じて多くの意見に耳を傾けますが、最終的な診療方針は病棟医師と外来主治医の判断が尊重されます。カンファレンス後には教授回診、論文抄読会、大学院生の研究進捗検討、薬の勉強会などがあります。

臨床勉強会と論文抄読会

自分で勉強していく事も大切ですが、効率的に知識を共有する目的で定期的な勉強会があります。火曜日には臨床を中心とした勉強会が開かれ、当番医師が臨床に関するテーマを決めて概説を行ない、日頃の臨床での疑問点を深く掘り下げて考えるよい機会になっています。水曜日には最新の免疫学のトピックス紹介である論文抄読会があります。最初は難しくて理解できなくても何回か参加しているうちに自然と免疫学用語にも慣れて知識が深まっていくでしょう。こうした勉強会では眠ってしまわないためにも、時間内に集中して内容を理解し、考え、意見を述べ、質問する姿勢が大切です。医員と2年目研修医には抄読会当番が回ってきますが、論文の選び方、読み方、抄読会の仕方は教官から指導があり、高いレベルでこなせるようになります。

大学院医学系研究科としての呼吸器・免疫内科学教室は、診療部門に呼吸器内科と免疫内科があり、毎月初めの金曜日は呼吸器内科と合同カンファを設け、互いの科での興味深い症例を持ち寄って検討しています。免疫内科医師が呼吸器疾患を勉強するために呼吸器内科に移り一定期間診療をすることもあります。なお、免疫内科医員は、医局入局者を対象に採用していますが、阪大病院の免疫内科病棟での勤務希望がありましたら御連絡頂ければ相談に応じます。

また、当科は下記の認定を受けています。

日本内科学会認定教育施設(大学病院)、日本リウマチ学会認定教育施設、日本アレルギー学会認定教育研修施設