呼吸器疾患のトピックス

気管支鏡検査に役立つ精密なCT“枝読み”法セミナーのお知らせ

気管支鏡の“枝読み”の難しさ

肺野末梢病変の気管支鏡検査をする前には(ナビシステムをお使いでない限り)必ずCT上で“枝読み”をされると思います。しかし英語論文を見ていると、従来のAxial断面での枝読みは“painfulでtediousでtime-consumingでmisleadingでさえある”などと表現されています。そのため現実的には「Axial CT断面で中枢側の数分岐だけ読み取って、あとは透視下で鉗子を挿れて探ろう」とされていることも多いと思います。

市販ナビよりも精密なオブリーク法

私達はオブリーク法というCTの枝読みの技術を開発しました。オブリークとはCTの斜断面を意味する一般的な単語です。従来の枝読みはCTの体軸断面(Axial)を用いることが多いと思いますが、斜断面(Oblique)を用いることで枝読みが一気に容易で/ 精密で/ 短時間で終わる作業になります。 例えばいわゆる肺野末梢小病変であっても、ほとんどの場合には標的に到達するところまで、時には標的内部の分岐さえも読み取ることができます。肺門から標的まで10以上の分岐が読み取れることも珍しくありません。しかも慣れれば1症例5分以下、多くは3分程度で枝読みが終わります。

オブリーク法は従来のAxial断面での枝読みより優れていることはもちろん、LungPoint(Broncus Medical, Inc.)など市販の仮想気管支鏡ナビと比較しても精密であり、[1] 末梢気管支の認識力 [2] 提案する経路の妥当性 [3] 気管支分岐の見落としの少なさ などの点で優れていることが示されています(1) 。

さらにオブリーク法の特徴の一つは、ソフトウェアではなく先生方ご自身のスキルであることです。つまりオブリーク法を身につけていただいた方は、市販の仮想気管支鏡ナビ無しでも様々なDICOMビューアで精密な枝読みを行うことが可能です。次のご勤務先でも電子カルテのDICOMビューアーか、OsiriXを使うことでオブリーク法を同じようにご活用いただけます。

(1) The Direct Oblique Method: A New Gold Standard for Bronchoscopic Navigation That is Superior to Automatic Methods. Miyake K, Morimura O, Inoue T et al. J Bronchology Interv Pulmonol. 2018. PMID: 29901530

3時間のハンズオンセミナーで効率よくオブリーク法の習得を目指す

オブリーク法を開発したのは2011年でした。その後、私達はオブリーク法の技術をお伝えするために、学会口演、学会主催の気管支鏡セミナー、各病院にお伺いした形での操作説明、講演会、マニュアルの配布など多様な取り組みを行ってきました。そして今、オブリーク法を最も効率よく、しかも実際に使っていただけるレベルで習得していただける方法は「3時間のハンズオンセミナー」であると考えています。

次回の“枝読み”ハンズオンセミナーのお知らせ(2019年7月17日更新)

引き続き当講座では“枝読み”ハンズオンセミナーを開催して参ります。これまでご参加いただいた先生方には大変好評で「枝読みに自信が持てるようになった」「気管支鏡検査に対する考え方や姿勢が変わった」など大変うれしいご感想を頂戴しました。「院内には他の気管支鏡ナビもあるが、もはやオブリーク法が無いと不安」とさえおっしゃる先生もおられました。次回の開催については下記の通りです。参加費はもちろん無料ですので奮ってご参加下さい。

とき 2019/8/03(土)10:00~ VINCENT使用
*準備・人数調整のため予約必須です。
参加資格 気管支鏡検査をされている医師
場所 大阪大学医学部附属病院
参加費 無料
主催 大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学講座
お申込み bf@imed3.med.osaka-u.ac.jp
チラシPDF 「気管支鏡精密“枝読み”セミナー」のご案内

ハンズオンセミナー開催の記録

2017年11月3日 会場:大阪大学医学部附属病院 終了(申込数:9)
2019年1月26日 会場:大阪大学医学部附属病院 終了(申込数:13)
2019年8月3日 会場:大阪大学医学部附属病院

受付中(2019年7月25日まで)

申し込み多数のため受付終了、キャンセル待ち

次回開催日程は未定です。
個別に操作説明をご希望の場合には下記までご相談ください。
bf@imed3.med.osaka-u.ac.jp

(文責:三宅 浩太郎)