大阪大学大学院医学系研究科
呼吸器・免疫内科学
Department of Respiratory Medicine and Clinical Immunology, Graduate School of Medicine, Osaka University
2000年 | 大阪教育大学教育学部附属高等学校天王寺校舎 卒業 |
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2007年 | 大阪大学医学部医学科 卒業 |
2008年 | NTT西日本大阪病院(現:第二大阪警察病院)初期臨床研修医 |
2010年 | NTT西日本大阪病院(現:第二大阪警察病院)膠原病・リウマチ科 医員 |
2012年 | 大阪大学医学部附属病院 免疫アレルギー内科 医員 |
2013年 | 大阪大学大学院医学系研究科 入学 |
2017年 | 大阪大学大学院医学系研究科 修了・学位取得 |
2017年 | 大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 助教 |
2020年 | ハーバード大学医学部 ブリガム・アンド・ウィメンズ病院 リサーチフェロ― |
2021年 | 大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 助教・外来医長 |
2023年 | 大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 助教・学内講師・病棟医長 |
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医・JMECCインストラクター
日本リウマチ学会 専門医・指導医・J-STAR(Japanese Scientists to Advance Rheumatology)委員・J-STAR-IR(International Relationship)副委員長
日本アレルギー学会 専門医・指導医
アジア太平洋リウマチ学会(APLAR) Education Committee / Young Rheumatologists Education Chairperson
日本炎症・再生医学会 評議員・次世代リーダー育成委員会(FLY-IR)委員・Inflammation and Regeneration Journal Editorial Board
日本救急医学会 ICLSインストラクター
臨床研修指導医
2023年07月 | 第44回日本炎症・再生医学会 優秀演題賞 |
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2022年04月 | 宇部興産学術振興財団 学術奨励賞 |
2022年04月 | 日本アレルギー学会 サノフィ優秀論文賞 |
2021年04月 | 日本学術振興会 海外特別研究員 |
2020年11月 | 令和2年度 大阪大学賞(若手教員部門) |
2020年08月 | 令和2年度 日本リウマチ学会奨励賞 |
2020年02月 | 研究成果の新聞掲載(産経新聞、日本経済新聞、読売新聞等) |
2019年12月 | 第3回先進医薬研究振興財団研究報告会 令和元年度 最優秀若手研究者 |
2018年11月 | 第5回日本リウマチ学会BRC 次世代リーダーセッション講演 |
2017年11月 | 第4回日本リウマチ学会BRC 優秀演題賞 |
2017年07月 | 第38回日本炎症・再生医学会 優秀演題賞 |
2017年07月 | 第32回自己免疫研究会 最優秀演題賞 |
2017年04月 | 第61回日本リウマチ学会総会 International Workshop Award |
2017年03月 | 研究成果の新聞掲載(毎日新聞、読売新聞、朝日新聞等) |
2016年11月 | 第13回IWAA Award of exceptional abstract and presentation |
私は大阪大学医学部在学時、病院実習で母親と同じ年代の全身性強皮症の患者さんと出会った事をきっかけに、このような難病を診療できる医師になりたいと思い免疫内科を志しました。NTT西日本大阪病院(現:第二大阪警察病院)での研修を通して免疫内科臨床の素晴らしさを教わった後、母校である大阪大学に戻り、免疫疾患の診療に携わっています。
私は常々、免疫疾患の診療は、エビデンス(知見)・イマジネーション(想像)・インフォームドコンセント(説明と同意)の三本柱で成り立っていると考えています。まず、医師は正確な試験デザインと統計に基づいた最新の知見を勉強し、把握する事が出発点です。その上で、目の前の患者さんにどのような病態が生じているのかを考え、時にチームで議論し想像する事が大切です。免疫疾患は多種多様かつ臓器横断的であり、縦割りの分類基準やガイドラインを適応するのみでは太刀打ち出来ないケースが多くある一方で、想像だけで突っ走ってしまっては的外れで時代錯誤な医療になってしまいます。エビデンスとイマジネーションをうまく掛け合わせて患者さんごとの最適解を求めなければなりません。
そして、私が最も重要視しているのがインフォームドコンセントです。免疫の病気は長年に渡り患者さんを悩ませる疾患が多いため、現在の病状はどうなのか、主治医はどのように考えているのかを説明し、納得していただくことが重要です。目に見えない「免疫の異常」を整理し、いかにわかりやすく患者さんに伝え治療を構築できるかが、免疫内科医の腕の見せどころであると考えます。限られた診療時間の中で患者さんや御家族が素直な気持ちを表出し、互いの意図を汲み取りやすい会話の雰囲気作りも大切にしています。これらの三本柱をバランスよく取り入れたオーダーメイドの治療こそが、多彩な病態に患者さんと共に立ち向かう術だと信じています。
また、免疫疾患の多くは慢性の経過を辿りますが、内科医として急変時の対応は常に迅速に出来なければならないと考えています。そういった気持ちから、日本救急医学会ICLSインストラクター、日本内科学会JMECCインストラクターの資格を取得し、講習会等で内科救急対応を指導しながら自身の研鑽も行うことをライフワークとしています。
難治性の免疫・アレルギー疾患の病態について、顆粒球(好中球や好酸球)活性化の原因究明や治療の研究を行っております。その中で、セマフォリン分子に代表される免疫ガイダンス因子が好中球の活性を制御するブレーキ役として働き、このブレーキが外れてしまうことが好中球の暴走を引き起こしANCA関連血管炎の発症に関与している事を発見、学位論文として報告しました(Annals of the Rheumatic Diseases 2017)。これを端緒としてセマフォリン分子と免疫疾患との関連にさらに興味を持ち、熊ノ郷淳教授との連名で総説を発表(Nature Reviews Rheumatology 2018)、耳鼻科の先生と共に難治性アレルギー疾患である好酸球性副鼻腔炎とセマフォリン分子に関する研究成果を発表しました(The Journal of Allergy and Clinical Immunology 2020)。
2020年よりハーバード大学に留学する機会をいただき、好中球表面のFcγレセプターを介した自己抗体の取り込みや活性化制御の研究に従事しました。ボストンの学際的で自由な雰囲気に魅了され、素晴らしい留学経験を得ることができました。大阪大学に戻ってからは、ANCAによる好中球細胞死のメカニズムについて、接着因子との関連を新たに報告し(ImmunoHorizons 2022)、それを生かした新規動物モデルの構築・治療応用の研究を行っております。
また、「基礎と臨床を繋ぐ」取り組みとして、共同研究講座の助力を得て免疫難病患者さんのシングルセル解析に取り組んでいます。シングルセル解析からわかったことをベッドサイドの臨床情報とリンクさせ、かみ砕いて理解することで免疫学的なプロファイルに基づいたANCA関連血管炎の新たな疾患層別化と再燃予測に役立つ成果を発表しました(Nature Communications 2023)。臨床医として、免疫難病患者さんの診療に少しでも資することができるような研究を今後も続けていきたいと思います。
私は専攻医時代に熊ノ郷淳教授に出会ったことで研究に興味を持ち、30歳を過ぎて初めてピペットを手にし、研究の世界に飛び込みました。当教室には私と同じく臨床医の経験を積んでから初めて研究に触れる大学院生が多く在籍しています。また、医学生・研修医・専攻医としてご活躍中の方にも今後そのようなキャリアを考えている先生が多くいらっしゃると思います。そのような方々に研究の楽しさを伝え、自らの経験に基づいた身近なアドバイスをしてあげられる存在でありたいと思っています。
(英文:筆頭著者および責任著者)
(英文:共著者(抜粋))
その他、合計38編
(和文:筆頭著者)