免疫疾患の解説一覧

喘息発作 Asthma attack

概要

アレルゲン暴露、気候変動、ウイルス感染などにより、喘鳴、咳嗽、息苦しさ、喀痰増加、労作時呼吸困難感、胸部絞扼感など喘息症状発現や増悪があらわれることがある。症状悪化を自覚した場合に最初に自宅で何を行うか(アクションプラン)を日頃から指導しておく必要がある。

喘息発作では、まずバイタルサインをチェックし、病歴を聴取する。発作の時間と増悪原因、普段の服薬内容と発作後の服薬状況、ステロイド使用の有無、発作による入院歴や救急外来受診歴、挿管の既往、心疾患や肺疾患の有無、アスピリン喘息や薬物アレルギーの有無など。胸部聴診を行ない感染が疑われる場合は胸部レントゲン撮影や喀痰細菌検査を行う。可能であれば採血にて好酸球数、好中球数、CRPなどを確認する。心不全、気胸、肺血栓症、細菌性肺炎、誤嚥性肺炎などの鑑別を行う。

急性発作の治療

SABAを1~2回吸入し、効果不十分であれば1時間まで20分おきに吸入を繰り返し、以後は1時間に1回を目安に吸入する。SMART(シムビコート®)療法では発作出現時に1吸入、数分経過しても発作持続なら更に1吸入追加する。SABA吸入を1~2日行う場合あるいはSABA吸入後1時間程度で効果が減弱する場合は予定外での外来受診が必要。

効果なく症状持続し中発作症状を呈する場合や、症状悪化がある場合には経口ステロイド薬(プレドニゾロン15~30mg相当)を内服の上で救急外来を受診する(お近くの救急外来を受診下さい)。

喘息発作の強度と発作治療ステップ
発作強度 呼吸困難 動作 PEF SpO2 PaO2 PaCO2
喘鳴/胸苦しい 急ぐと苦しい、動くと苦しい ほぼ普通 80%以上 96%以上 正常 45 mmHg 未満
軽度(小発作) 苦しいが横になれる やや困難
発作治療ステップ1:短時間作用性β2刺激薬吸入、ブデソニド/ホルモテロール(シムビコート®)吸入薬追加(SMART療法時)。
対応の目安:医師による指導のもとで自宅治療可。
中等度(中発作) 苦しくて横になれない かなり困難、かろうじて歩ける 60~80% 91~95% 60 mmHg 超 45 mmHg 未満
発作治療ステップ2:短時間作用性β2刺激薬ネブライザー吸入反復、酸素吸入(SpO2 95%前後を目標)、ステロイド薬全身投与、アミノフィリン点滴静注併用可、0.1%アドレナリン皮下注使用可。
対応の目安:救急外来。2~4時間で反応不十分、1~2時間で反応なしでは入院治療。高度発作として治療。
高度(大発作) 苦しくて動けない 歩行不能、会話不能 60%未満 90%以下 60 mmHg 以下 45 mmHg 以上
発作治療ステップ3:短時間作用性β2刺激薬ネブライザー吸入反復、酸素吸入(SpO2 95%前後を目標)、ステロイド薬全身投与、アミノフィリン点滴静注(持続)、0.1%アドレナリン皮下注使用可、吸入短時間作用性コリン薬併用可。
対応の目安:救急外来。1時間以内で反応なければ入院治療。悪化すれば重篤症状として治療。
重篤 呼吸減弱、チアノーゼ、呼吸停止 会話不能、体動不能、錯乱、意識障害、失禁 測定不能 90%以下 60 mmHg 以下 45 mmHg 以上
発作治療ステップ4:上記治療継続。症状、呼吸機能悪化で挿管。酸素吸入にもかかわらずPaO2 50mmHg以下および/または意識障害を伴う急激なPaCO2の上昇。人工呼吸、気管支洗浄を考慮。全身麻酔(イソフルラン、セボフルランなどによる)を考慮。
対応の目安:直ちに入院、ICU管理。

参考文献

2019/Nov