免疫内科

よくある質問

膠原病、自己免疫疾患一般

どのような疾患を対象に治療を行っていますか?

自己免疫現象によって引き起こされる疾患が対象です。いわゆる”膠原病”とひとくくりにされますが、これには、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、ベーチェット病、大動脈炎症候群、リウマチ性多発筋痛症、血管炎症候群など多くの疾患が含まれます。

膠原病ではないかと心配なのですが?

一口に膠原病といっても、多くの疾患がありますし、症状も多彩です。まず近隣の医療機関で現在の症状や気になる点を相談され、医学的にみて膠原病であるか、或いは膠原病が疑われるか否かを検討していただき、専門医受診の必要性があれば、紹介状を作成していただけたらと思います。

関節が痛むので、リウマチが心配なのですが?

手の指、手のひらや甲、手首、足指の付け根や足底、足首が、左右対称性に腫れる、痛むことが慢性的に(1,2ヶ月以上)続く、朝起き掛けに症状が悪化している、痛みや腫れが肘や肩、膝など全身に多発する、などの症状が典型的です。このような症状が気になるようでしたら、医療機関で相談下さい。

なぜ膠原病という名前なのでしょうか。

その昔、顕微鏡で病気の場所を観察すると、組織のなかに膠原繊維が増えているという特徴があり、その経緯で膠原病と呼ばれております。

リウマチとはどういう意味なのでしょうか。

あちこちに生じる、”リウマチ”とは”流れる”という意味です。”リウマチ”という言葉で全身性の病気であることを表しています。リウマチという言葉のつく病気には、関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、リウマチ熱など複数存在します。

免疫疾患、膠原病、リウマチ疾患、いったいどれが正しい病名?

病気がおきるしくみ(免疫の異常)から考えると免疫疾患。病変部位の顕微鏡観察(一部の病気では病変部で膠原繊維が増える)から膠原病、臨床上の特徴(痛みがあちこちに生じる。リウマチとは移動するという意味です)からリウマチ疾患、などと、病気を考える立場によって名前が変わります。

膠原病やリウマチ、アレルギーは人にうつる病気でしょうか。

うつりません。むしろ、これら疾患の治療でステロイド剤や免疫抑制薬を内服している場合、体の抵抗力が低下していることがありますので、一般生活で他人から自分に感染症が”うつりやすい”可能性があります。インフルエンザや風邪がはやる時期には、無理をせず、食事や睡眠、安静、保温、手洗い、うがいなどに気を配り、全身状態を良好に保つことで、感染症が”うつりやすい”リスクに対応して下さい。

受診に関して

受診の仕方を知りたいのですが。

初診の場合:紹介状を持参し、1階ロビーの初診受付で手続きを行ってください。
再診(予約あり)の場合:予約時間にご来院ください(混雑の具合により待ち時間が発生します)。
再診(予約なし)の場合:8時30分から11時の間に、1階3番の再診受付を済ませ、内科外来にお越しください。 その後、当日の外来の順番を決定しますが、予約のある患者さんとの兼ね合いで、待ち時間が長くなることがあります。

免疫内科で、すべての内科の病気を一緒に治療していくことは可能ですか?

免疫疾患の専門診療を対象としますので、例えば、糖尿病や高血圧、胃炎など、一般的な病気に関しては、近隣の総合的な内科やかかりつけ医(ホームドクター)での治療をお願いします。但し、全身的な管理が重要である状況においては、当院の該当する診療科での診察をお勧めすることもあります。

がん検診もついでにしてもらえますか?

免疫疾患に癌の併発を疑う状況でなければ、癌検診はできません。住民、市民、会社検診などを積極的に利用して下さい。

特定疾患について教えて下さい。

我が国の難病対策で123疾患あり、そのうち45疾患が医療費の公費負担助成の対象となっております。免疫疾患では、特発性血小板減少性紫斑病、原発性免疫不全症候群、大動脈炎症候群(高安動脈炎)、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎(チャーグ ストラウス症候群)、悪性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性筋炎/皮膚筋炎、ベーチェット病、強皮症、アミロイドーシスなどが医療費公費負担助成の対象となっております。主治医あるいは医事課1番窓口にご相談ください。

臨床治験に参加したいのですが。

患者さんの希望以外に、治験に参加出来るかどうかの医学的判断(確定診断、合併症の有無、行われている治療内容や内服薬、年齢、病期などを含めた判断)が必要です。外来主治医と相談して下さい。

治療薬に関して

ステロイドとは、どんな薬ですか?

ステロイドは、体の炎症を抑えることのできる大変有効な物質で、我々の体内でも毎日一定量が分泌されています。多くの膠原病や自己免疫疾患では炎症が持続しますが、その炎症が強くしかも長く持続すれば、炎症の起こった関節や臓器は破壊され、その機能が失われます。その機能喪失はしばしば不可逆的(一度壊れると治らないこと)であり、例えば、関節であれば破壊による変形や動きが失われる、肺であれば肺が硬くなり呼吸不全を生じる(呼吸が十分にできない)、腎臓であればむくみやだるさに悩む、神経であればきつい痺れや感覚がなくなる、手足が麻痺する、などといった後遺障害をきたします。体にとって重要な臓器が高度の機能不全(臓器不全)になると命に関わります。そういった経過において、炎症をステロイドや免疫抑制薬で鎮め、臓器不全への進行を抑制することが治療上重要となります。

ステロイドの副作用について

上記のように、ステロイドは炎症を抑える大変強い作用を持っていますが、それゆえ逆に体に対して有益でない作用(副作用)も多く持っています。従って、炎症を抑える必要性と副作用の両方を評価、検討しながら投与を行います。生命に関わるような臓器の炎症状態が強く持続しているならば、ステロイドの投与は優先されますし、炎症が沈静化しているならば、少しずつステロイドを減量することが可能です。
副作用として、骨の密度が低下する骨粗鬆症、血圧の上昇、血糖値やコレルテロール値の上昇、顔が丸くなる現象(ムーンフェイス)、体の抵抗力が低下して感染しやすくなること、白内障や緑内障などがよく知られていますが、他にも多くの副作用があります。

調子がよいので(あるいは飲みたくないので)ステロイドを中止してもよいですか?

はじめの回答で示したように、ステロイドは健常人の体内でも必要なホルモンとして分泌されています。ステロイド剤をある程度の期間内服すると、体内での分泌は抑制されますので、ある日突然内服を中止すると、体がステロイド不足状態いいかえると枯渇状態となり、大変しんどい状態になります。血圧や血糖値が低下すると、危険な状態ともなりえます。このような状態を”副腎不全”といいます。ステロイドを慎重にペースを守って減量すれば、副腎不全を起こさずに中止することができます。病状の安定があっても無理な減量、急な中止は副腎不全のリスクを伴います。また、減量、中止によって、もとの抑えられていた炎症(治療している病気)が再び悪化することもありえます。

ステロイド以外にはどのような薬剤がありますか?

炎症を抑える薬剤として、免疫抑制薬があります。これは薬剤のグループを示す名称で、多くの薬剤がこれに含まれます。ステロイド同様に炎症を抑制する強い作用(免疫抑制作用)を有しています。従って、体の抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなる副作用には注意が必要です。ステロイドだけでは病気の炎症が抑制できないときに追加されたり、ステロイドの減量を行う際に併用されたり、といった使われ方があります。薬剤によって肺、肝臓、腎臓などに障害を起こす副作用があり注意が必要です。
他に、血管を広げる血管拡張薬、血栓(血のかたまり)の形成を抑制して血流を良くする抗血小板薬や抗凝固薬などが使用されます。

メソトレキセート(商品名、リウマトレックス、メトレート)を内服中ですが、注意すべきことはありますか?

メソトレキセートは、関節リウマチの治療薬として服用する際には、週に1日または2日のみ、朝夕に内服します。毎日の服用ではありませんので確認下さい。また時に肺障害の副作用が見られます。”風邪をひいた訳でもないのに、咳(とくに空咳)が連日続く”、”歩いただけで息切れがするようになる”、など呼吸器症状が出現するようであれば、次回の診察を待たず、受診して下さい。他に、口の粘膜が荒れる、胃腸の調子がわるくなる、肝障害を生じる、などの副作用ががありえます。このような症状があれば量の調節や副作用を緩和する可能性のある葉酸製剤を併用することがあります。

 痛み止めはどのように使えばよいですか?

痛み止め(解熱鎮痛薬)は、その名の示すとおり痛みを和らげる効果があります。一日中強い痛みがある際には、薬剤の種類にもよりますが(薬剤の効果の持続時間が異なるため)、一日で1から3回程度内服します。これら薬剤には、痛みを和らげる作用はあるものの、病気の勢い(活動性)を沈静化させる作用はありません。従って、病気そのもののコントロールには、上記に示したステロイドや抗リウマチ薬、免疫抑制薬が使用されます。病気の活動性がコントロールされれば、痛み止めの使用頻度も減るものと思います。痛み止めは、常時内服することを長期間継続すると、しばしば胃潰瘍やひどい胃炎を起こすことがあり注意が必要です。このような際には、食欲低下、胃痛、吐き気、黒色便などの症状が起こりえます。