大阪大学大学院医学系研究科
呼吸器・免疫内科学
Department of Respiratory Medicine and Clinical Immunology, Graduate School of Medicine, The University of Osaka
治療の基本的な方針として、Window of opportuntity(早期の段階で治療)、Treat to target (T2T)(明確な治療目標で治療)、Tight control(厳密に管理する)が唱えられている。疾患活動性、予後因子の存在、年齢、併存症などを勘案し治療方針を決定する。低疾患活動性または寛解を目標とし、達成できなければ1~3ヶ月ごとに治療方法を見直すことが大切である。
疾患の経過を変えうる。免疫抑制作用および免疫調節作用により効果が発現するが、作用機序が明確ではないものもある。葉酸代謝拮抗剤であるメソトレキサート(Methotrexate: MTX、リウマトレックス、メトレート、メトトレキサート)の間欠投与(週1~2日のみ内服)は標準的治療薬でありアンカードラッグ(anchor drug)とされ有効性が高い。間質性肺炎、骨髄抑制、肝障害などの副作用に留意が必要、特に腎機能低下では注意を要する。他に、サラゾルルファピリジン(Salazosulfapyridine)、ブシラミン(Bucillamine)、イグラチモド(Iguratimod)、タクロリムス(tacrolimus)などがある。
アラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase: COX)を阻害し、疼痛・発熱物質であるプロスタグランジン産生を抑制する。恒常的に発現しているCOX1と炎症時に発現誘導されるCOX2がある。COX1阻害作用の強いものは消化性潰瘍が起こり易く、COX2選択的阻害剤(セレコキシブなど)の使用が望ましい。免疫反応そのものは改善させず、疾患活動性の改善効果や関節破壊の抑制効果には乏しい。
関節痛の抑制だけでなく免疫抑制により、疾患活動性も抑制できる強力な薬剤である。1948年に関節リウマチに投与され、初めてその抗炎症作用が知られるようになったが、投与量と投与期間によって、感染症、骨粗鬆症、胃潰瘍、中心性肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧さらには心血管イベントの増加を含む多彩な副作用リスクが増加する。短期間(できれば半年以内)の活動性抑制の目的で関節内投与や内服薬で使用される。
病態に関与する重要な分子に対して、抗体や受容体細胞外領域を利用して阻害する。その劇的な効果により、使用が増加している。炎症性サイトカインであるTNFαを阻害するTNF阻害薬は、最初に開発された生物学的製剤であり現在では多くの種類があり(infliximab,etanercept,adalimumab,golimumab,certolizumab)、一部では値段の安い後発製剤(バイオシミラー)も登場している。効果発現が早く、とくにMTX併用では高い寛解導入率が期待できる。MTXが使用できない場合は、MTX非使用でも十分な効果が得られる非TNF阻害薬(tocilizumab,abatacept)もある。生物学的製剤は分子量が大きく点滴や皮下注射として使用される。
各種インターロイキンやエリスロポエチンやG-CSFなどの造血因子、インターフェロンなどの各種サイトカインが細胞に信号を伝える時に細胞内のチロシンキナーゼであるJAK(Janus kinase)が活性化される。JAKにはJAK1、2、3、Tyk2の4つの分子があり、各種サイトカインによって活性化されるJAKの種類が異なる。2013年にJAK1とJAK3やや弱くJAK2を阻害するトファシチニブ(Tofacitinib)が承認、2017年にJAK1とJAK2を阻害するバリシチニブ(Baricitinib)が承認された。トファシチニブは主に肝代謝で、バリシチニブは主に尿から排泄される。注射薬の生物学的製剤と同程度の効果を内服薬で達成できる。しかし、JAKを活性化する多数のサイトカイン信号を抑制する可能性があり造血障害や感染症とくに帯状疱疹に留意する。生物学的製剤使用時と同様、投与開始前に肝炎や結核などの感染症の有無や感染症のリスクを評価して慎重に投与する。
免疫抑制剤や生物学的製剤、JAK阻害剤を開始する際には、活動性の感染症が存在する場合はその治療を優先する。高齢者、呼吸器疾患罹患者、6mg/日以上のステロイド内服、糖尿病などは、重篤な感染症のリスク因子である。tocilizumab投与時は、感染症の診断に頻用するCRPの上昇がみられないことがあり、慎重な判断を要す。MTXや生物学的製剤の治療によって肝炎ウイルスの再活性化がおこりえるため、治療前にHBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体を測定し、陽性の場合は肝臓専門医に相談する。結核発症のリスクがある場合や潜在結核が疑われる場合にはINHの予防内服を行う。
関節破壊がおきると薬物療法では関節機能の改善は見込みにくく、手術による機能回復が必要となる。生物学的製剤の進歩で、関節破壊の抑制がかなりできるようになり、大関節の手術(膝関節、股関節などの人工関節置換手術)は減少傾向となっているが、手指などの小関節の機能改善手術はむしろ増加し、より高い関節機能の改善が目指されている。
初期治療は、短期GC併用でMTX。3~6か月後、効果不十分ではbDMARD追加。MACE、悪性腫瘍、血栓塞栓症などのリスク評価後JAK阻害剤も検討。最初のbDMARD(又はJAK阻害剤)の次は、他のbDMARD(別クラスか同クラス)又はリスクを考慮してJAK阻害剤。寛解持続ならDMARDs漸減も可能だが中止すると再燃が多い。
csDMARD(MTX、レフルノミド、スルファサラジン)、グルココルチコイド(GC)、bDMARD(アダリムマブ、セルトリズマブ ペゴル、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブ、アバタセプト、リツキシマブ、トシリズマブ、サリルマブ、バイオシミラーを含む)、tsDMARD(JAK阻害剤のトファシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、ウパダシチニブ、本邦ではペフィシチニブも)
| 包括的原則 | |
|---|---|
| A | 関節リウマチ治療は最善のケアを目指している患者と医師の共有した意思に基づく。 |
| B | 治療方針は、疾患活動性、安全性、併存疾患や構造的破壊の進行などの要因に基づく。 |
| C | リウマチ専門医は、関節リウマチ患者の診療を主に行う専門医である。 |
| D | 関節リウマチの多様性のため、作用機序の異なる複数の薬剤を利用する必要がある。生涯を通じて複数の治療を継続的に受ける必要がある。 |
| E | 関節リウマチは、個人、医療、社会にとって大きな負担となるため、リウマチ専門医はこれらすべてを考慮して治療する。 |
| 推奨 (証拠レベル、推奨の強さ、合意レベル) | |
|---|---|
| 1 | 関節リウマチの診断が確定したら、すぐにDMARDsによる治療を開始する。(1a,A,9.9) |
| 2 | すべての患者で持続的な寛解/低疾患活動性の達成を目指して治療する。(1a,A,9.8) |
| 3 | 活動期には頻繁にモニタリングを行う(1~3か月毎)。治療開始後3か月以内に改善がない、または6か月までに目標が達しない場合は治療を調整する。目標が維持されているなら受診を減らすことができる。(2b,B,9.6) |
| 4 | MTXは第一選択の一部。MTX禁忌(または早期の不耐性)ではレフルノミドまたはスルファサラジンを検討。(1a,A,9.4) |
| 5 | csDMARDs開始時や変更時に、様々な投与量・投与経路でGCの短期使用を検討するが、臨床的にできる限り速やかに漸減中止する。(1a,A,9.5) |
| 6 | csDMARD療法で治療目標に達しない場合はbDMARDを追加する。JAK阻害剤も検討されるが関連するリスク因子を考慮に入れる。(有効性1a,A,9.3) 、(安全性2a,B,9.3) |
| 7 | bDMARDs/tsDMARDsはcsDMARDと併用する。csDMARDs併用できない場合はIL-6阻害薬とJAK阻害薬は他のbDMARDと比べいくつか利点がある。(有効性1a,A,9.5) |
| 8 | bDMARDやtsDMARDが不十分では、別のbDMARDまたはtsDMARDを検討する。1種類のTNFまたはIL-6阻害薬が不十分では、別の作用機序または2つ目のTNF/IL6阻害薬を考える。(有効性1a/5/3,A/D,9.5) |
| 9 | GCを中止し、持続的寛解では、DMARDs(bDMARDs/tsDMARDs、csDMARDs)継続が推奨されるが、減量も検討される。(1b,A,9.6) |
JAK阻害剤は投与にあたり心血管イベントおよび悪性腫瘍のリスクを考慮する: 65歳以上、現在や過去の喫煙歴、心血管リスク(糖尿病、肥満、高血圧など)、悪性腫瘍リスク(非黒色腫皮膚がん以外の悪性腫瘍の治療中または既往歴)、血栓塞栓症リスク(心筋梗塞や心不全の既往歴、癌、遺伝性血液凝固障害や血栓症の既往歴、ホルモン避妊薬やホルモン補充療法中、大手術を受けた、または寝たきり)。
推奨に関する補足
2 線維筋痛症、変形性関節症、うつ病など疼痛を伴う疾患が併存すると、臨床的寛解にもかかわらず疾患活動性ありとされる事がある。臨床現場で線維筋痛症のような疼痛や疲労を訴える患者に不適切な治療を行う可能性がある。こうした患者はDMARDを必要としない可能性があり、まして別のDMARDに変更する必要はなく、他の介入が必要である。
3 DMARD 開始後 3~6か月以降に生じる検査異常はまれで、腎臓や肝機能などが予期せず変化しない限り、有害事象は最初の 3~6 月以内に最も多い。こうした考えはbDMARDにも拡大されている。「過剰なモニタリング」は、患者、医師、医療資源の負担になる。
4 一部の患者にbDMARDs(またはJAKi)を第一選択と考える専門医もいるが、臨床的、機能的、放射線学的に早期RAにおいてbDMARDsがMTXとGCsの併用療法よりも優れていることを示す試験はまだない。b/tsDMARDsの安全性やコストがcsDMARDsより高いことが、現段階ではbDMARDsの第一選択に反対する根拠である。3剤併用(MTX、スルファサラジン、HCQ)に関しては、MTX・GC2剤併用の方が、関節破壊の進行率が27%対5%で良かった。
5 疾患活動性を抑制するためGCを必要とする場合は、DMARDの変更を検討する。GCの投与経路では、一部のリウマチ専門医は経口よりも非経口(筋肉内注射など)を好む。
6 2022年までは予後不良因子(関節腫脹数が多い、急性期蛋白高値、持続的な中等~高度の疾患活動性、リウマトイド因子や抗CCP抗体が高力価、早期の骨びらん、2つ以上のcsDMARDが無効)のいずれかある場合、bDMARDやJAK阻害剤の追加が推奨されていたが、bDMARDsのコスト低下から予後不良因子による層別化をなくした。MTXとGCに対する反応が不十分であること自体がすでに予後不良の兆候である。
8 同じクラスの薬剤を3回使用すべきではない。また、RA-ILDに対しニンテダニブやピルフェニドンは、肺機能の低下を遅らせる効果が示唆されているが、これらの治療法の声明を出すには時期尚早とされた。RA-ILDは呼吸器専門医への相談が必要かもしれない。
9 治療を中止すると大多数の患者で再燃するというデータが増えておりDMARD継続が重要であることを明確にするための文言になった。ただし、特に少なくとも6か月間持続的な寛解状態にある場合、用量の減量(投与間隔の延長)も選択肢となる。
「日本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン2024」 日本リウマチ学会編集 診断と治療社発行 より
赤番号は2024年版で新規追加または改訂された項目。
括弧内は(推奨の強さ、エビデンスの確実性、同意度)
| 治療目標 | |
|---|---|
| 疾患活動性の低下および関節破壊の進行抑制を介して、長期予後の改善、特にQOLの最大化と生命予後の改善を目指す。 | |
| 治療原則 | |
| A | 関節リウマチ患者の治療目標は最善のケアであり、患者とリウマチ医の協働的意思決定に基づかねばならない。 |
| B | 治療方針は、疾患活動性や安全性とその他の患者因子(合併病態、関節破壊の進行など)に基づいて決定する。 |
| C | リウマチ医は関節リウマチ患者の医学的問題にまず対応すべき専門医である。 |
| D | 関節リウマチは多様であるため、患者は作用機序が異なる複数の薬剤を必要とする。生涯を通じていくつもの治療を順番に必要とするかもしれない。 |
| E | 関節リウマチ患者の個人的、医療的、社会的な費用負担が大きいことを、治療にあたるリウマチ医は考慮すべきである。 |
| MTX | |
| 1 | 疾患活動性があればMTXを推奨。(強、低、8.8) |
| 2 | MTX使用時に葉酸投与を推奨。(強、低、8.6) |
| 3 | MTX効果不十分では、MTXとcsDMARD併用を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.8) |
| 4 | 疾患活動性があればMTX皮下注を内服と同等に条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.0) |
| csDMARD | |
| 1 | 疾患活動性があり、MTXが使えないまたは効果不十分では、MTX以外のcsDMARDを条件付きで推奨。(弱、低、8.0) |
| 2 | bDMARDやJAK阻害剤とcsDMARD併用で寛解または低疾患活動性を維持している時は、csDMARDの減量を条件付き推奨。(弱、非常に低、7.2) |
| NSAID、ステロイド | |
| 1 | 疼痛軽減目的でNSAIDを条件付きで推奨。(弱、低、7.8) |
| 2 | 疾患活動性ある早期RAでは、csDMARDに短期間のステロイド併用を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.4) |
| bDMARD | |
| 1 | csDMARDが効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、TNF阻害薬の併用を推奨。(強、高、8.8) |
| 2 | csDMARDが効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、非TNF阻害薬の併用を推奨。(強、低、8.8) |
| 3 | MTXが使えない/MTXを含むcsDMARD効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、TNF阻害薬単剤を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.6) |
| 4 | MTXが使えない/MTXを含むcsDMARD効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、非TNF阻害薬単剤を条件付きで推奨。(弱、低、8.2) |
| 5 | MTX効果不十分で中等度以上の疾患活動性では、MTXにbDMARDを追加併用するなら、ABTとTNF阻害薬を同等に推奨。(強、高、8.2) |
| 6 | MTXが使えない/効果不十分で中等度以上の疾患活動性では、MTXを併用せずにbDMARDを投与する場合TNF阻害薬よりIL-6阻害薬を推奨。(強、中、7.9) |
| 7 | TNF阻害薬が効果不十分で中等度以上の疾患活動性では、他のTNF阻害薬より非TNF阻害薬への切り替えを条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.8) |
| 8 | TNF阻害薬で寛解維持している場合、TNF阻害薬の減量を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.3) |
| 9 | IL-6阻害薬で寛解/低疾患活動性を維持している場合、IL-6阻害薬減量を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.3) |
| 10 | ABTで寛解/低疾患活動性を維持している場合、ABT減量を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.3) |
| RTX(保険適応外使用の考慮は、臨床試験中、国内の証拠不足、患者背景を勘案する。保険適応外使用はLPD既往や作用機序の異なる複数DMARDで効果不十分などに限定して検討する。) | |
| 1 | MTXを含むcsDMARDが効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、RTXを条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.8) |
| 2 | MTXを含むcsDMARDが使えない/効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、RTX単剤を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.8) |
| 3 | MTXを含むcsDMARDが効果不十分で、中等度以上の疾患活動性で、MTXに追加する場合、RTXよりTNF阻害剤を条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.4) |
| 4 | 1剤以上のTNF阻害剤が使えない/効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、MTXとRTXの併用を条件付きで推奨。(弱、低、8.0) |
| 5 | RTXを除く1剤以上のbDMARDが使えない/効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、MTXとRTXの併用より、MTXと他のbDMARDの併用を条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.1) |
| JAK阻害剤(長期安全性が十分に確立されていないことを考慮する) | |
| 1 | MTX効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、短期的治療においてJAK阻害剤単剤投与を条件付きで推奨。(弱、高、8.2) |
| 2 | MTX効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、短期的治療においてMTXとJAK阻害剤の併用を条件付きで推奨。(弱、低、8.4) |
| 3 | MTX効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、短期的治療においてMTX-JAK阻害剤併用とMTX-TNF阻害剤併用を同等に条件付きで推奨。(弱、低、8.2) |
| 4 | MTX効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、長期的治療においてMTX-JAK阻害剤併用よりMTX-TNF阻害剤併用を条件付きで推奨。特に高齢、現在/過去の喫煙、悪性腫瘍リスク因子、心血管疾患リスク因子、血栓塞栓症リスク因子を有する場合はJAK阻害剤使用中の有害事象に注意が必要。(弱、低、8.5) |
| 5 | bDMARD効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、MTX-JAK阻害剤併用を条件付きで推奨。(弱、低、8.4) |
| 6 | bDMARD効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、bDMARDとJAK阻害剤を同等に条件付きで推奨。(弱、低、8.1) |
| 7 | JAK阻害薬で寛解または低疾患活動性を維持している場合、薬剤減量を条件付きで推奨。(弱、低、7.2) |
| Denosumab、バイオシミラー | |
| 1 | 骨びらんを伴い疾患活動性があれば、骨びらん進行抑制目的にDMARDへ上乗せで抗RANKL抗体投与を条件付きで推奨。(強、高、6.9) |
| 2 | 既存治療効果不十分で、中等度以上の疾患活動性では、先行バイオと後続品バイオを同等に条件付きで推奨。(弱、中、8.5) |
| 3 | 先行バイオ使用中でも後続品への切替えを条件付きで推奨。(弱、低、7.8) |
| 高齢患者 | |
| 1 | RAと診断された高齢患者で予後不良因子を有する場合、安全性に十分配慮しMTXを条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.2) |
| 2 | MTXを含むcsDMARDが効果不十分で、中等度以上の疾患活動性を有する高齢RA患者に、安全性に十分配慮したうえでbDMARDを条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.1) |
| 3 | MTXを含むcsDMARDが効果不十分で、中等度以上の疾患活動性を有する高齢RA患者に、安全性に十分配慮したうえで短期的治療においてJAK阻害剤を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.4) |
| 4 | 疾患活動性を有する高齢早期RA患者に、csDMARDと短期間のステロイドの併用を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.7) |
| 合併症を有する場合 | |
| 1 | 間質性肺疾患合併では、急性増悪に注意してDMARD投与を条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.1) |
| 2 | 重症心不全では、TNF阻害剤を投与しないことを条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.1) |
| 3 | 中等度以上の腎機能障害では、安全性を慎重に検討し適切な用量のDMARDを推奨。(強、非常に低、8.2) |
| 4 | HBsAg陽性では、肝臓専門医との連携を推奨。HBsAg陰性では、HBV感染を定期的観察して通常の治療戦略を推奨。(強、非常に低、8.2) |
| 5 | HCV感染では、肝臓専門医と連携し通常の治療戦略を推奨。(強、非常に低、8.1) |
| 6 | HTLV-1陽性では、経過を注意深く観察してDMARD投与を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.6) |
| 7 | 悪性腫瘍の合併または既往では、悪性腫瘍の主治医と連携し、十分な説明による患者の同意のうえ、bDMARDを条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.5) |
| 8 | ステロイド、DMARD投与中はインフルエンザワクチンおよび肺炎球菌ワクチン接種を推奨し、生ワクチンは接種しないことを条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.1) |
| 手術・リハビリテーション | |
| 1 | 整形外科手術周術期は、MTXを休薬しないことを条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.1) |
| 2 | 整形外科手術周術期は、bDMARDの休薬を条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.4) |
| 3 | 肘関節破壊を伴う機能障害に対し、人工肘関節全置換術を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.7) |
| 4 | 手関節障害に対する、橈骨手根骨間部分関節固定術およびSauve-Kapandji手術を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.7) |
| 5 | MCP関節障害に対し、シリコンインプラントによる人工指関節置換術を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.5) |
| 6 | 肩関節破壊を伴う機能障害に対し、人工肩関節全置換術を条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.6) |
| 7 | 肩関節障害に、人工肩関節全置換術と上腕骨人工骨頭置換術をともに条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.4) |
| 8 | 股関節破壊を伴う機能障害に対し、人工股関節全置換術を推奨。(強、非常に低、8.4) |
| 9 | 股関節障害に対し、セメントおよびセメントレス人工股関節全置換術をともに条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.9) |
| 10 | 膝関節破壊を伴う機能障害に対し、人工膝関節全置換術を推奨。(強、非常に低、8.5) |
| 11 | 足関節破壊を伴う機能障害に対し、人工足関節全置換術、足関節固定術をともに条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.7) |
| 12 | 併存症を有するRA患者に対して整形外科手術を行った場合、手術部位感染、創傷治癒遅延、死亡発生が増える可能性があり、特に注意し観察・治療を行う。(強、低、8.4)。 |
| 13 | 足趾変形による機能障害に対し、切除関節形成術、関節温存手術をともに条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.0) |
| 14 | 頸髄症に対し、神経症状が重症になる前に、また環軸椎不安定性が整復可能である間に頚椎手術を条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.1) |
| 15 | 将来の整形外科手術が必要になるリスクを低減するため、早期ないし有効性の高い薬物治療を条件付きで推奨。(弱、非常に低、8.0) |
| 16 | 運動療法は、患者主観的評価を改善させるため推奨。(強、中、8.5) |
| 17 | 作業療法は、患者主観的評価を改善させるため推奨。(強、非常に低、8.5) |
| 18 | ステロイド関節内注射は、患者主観的評価を改善させるため条件付きで推奨。十分な薬物治療の継続を前提とし、短期使用に限定する。(弱、非常に低、7.9) |
| 19 | 関節手術は患者主観的評価を改善させるため条件付きで推奨。慎重な身体機能評価により適正なタイミングで行うことが望ましい。(弱、非常に低、8.2) |
| 妊娠・授乳 | |
| 1 | 妊娠中のTNF阻害薬投与は条件付きで許容される。治療の必要性についての十分な検討と、児の先天異常や新生児感染症の発症に対する慎重なモニタリングが求められる。(弱、非常に低、7.9) CZPとETNは胎盤通過性が少ない。 |
| 2 | 男性RA患者のパートナーが妊娠を望む場合、TNF阻害薬とMTXは条件付きで許容される。(弱、非常に低、8.2) |
| JIA少関節炎型・他関節炎型 | |
| 1 | 患児にMTXを推奨。(強、非常に低、8.7) |
| 2 | 患児にAZA、SASP、LEFを投与しないことを条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.9) |
| 3 | 患児にcsDMARDに追加して短期間のステロイド全身投与を行わないことを条件付きで推奨。(弱、非常に低、7.9) |
| 4 | csDMARDが使えない/効果不十分で、中等度以上の疾患活動性を有する患児に、TNF阻害薬を推奨。(強、非常に低、8.4) |
| 5 | csDMARDが使えない/効果不十分で、中等度以上の疾患活動性を有する患児に、IL-6阻害薬を推奨。(強、中、8.5) |
| 6 | 他のDMARDが使えない/効果不十分で、中等度以上の疾患活動性を有する患児に、短期的治療においてJAK阻害薬を条件付きで推奨。(弱、低、7.6) |
| 治療困難関節リウマチ(D2T RA)の定義(以下の3基準すべてがある場合) | ||
|---|---|---|
| 1. | csDMARDsでは不十分で、EULAR推奨に従い二つ以上の(作用機序の異なる)生物製剤/標的合成DMARDsに対して抵抗性。 | |
| 2. |
以下のうち一つ以上の徴候があれば、疾患活動性や進行性を示唆する。
|
|
| 3. | 徴候や症状の管理がリウマチ医や患者によって問題があると認識される。 | |
| 治療困難関節リウマチの管理のための考慮ポイント | ||
| 1. | D2TRAと推定される場合、まず最初に誤診や共存する類似疾患(結晶性関節炎、PMR、乾癬性関節炎、脊椎関節炎、スティル病、SLE、リュープス症候群、血管炎、炎症性筋疾患、RS3PE、反応性関節炎;パルボB19、風疹、ウィップル病、HBV/HCV感染症、傍腫瘍症候群、変形性関節症、線維筋痛症など)を検討。 | |
| 2. | 臨床評価や活動性指標などで炎症の存在に疑問がある場合は関節エコーで評価する。 | |
| 3. | 併存症、特に肥満や線維筋痛症は炎症を強め疾患活動性を過大評価する可能性があり、活動性指標や臨床評価を注意して解釈する。 | |
| 4. | 意思共有して話し合い、治療遵守について最適化する必要がある。 | |
| 5. | 2回目以降のb/tsDMARD 失敗後、特に2回のTNFi失敗後は異なる標的での治療を検討する。 | |
| 6. | 3回目以降のb/tsDMARDを考慮する場合は、適切な試験で効果的かつ安全と判断された最大量を使用する。 | |
| 7. | QOLに影響を及ぼし、RA治療選択肢を妨げる併存疾患(感染症、悪性腫瘍、PMR、変形性関節症、亜脱臼や脱臼などの関節破壊が長期に及んだ結果)を慎重に検討して管理する。 | |
| 8. | HBV/HCV感染併発でもb/tsDMARD は使用できるが、肝臓専門医と緊密に連携して抗ウイルス薬の予防や治療を考慮する。 | |
| 9. | 機能障害、痛み、倦怠感の管理の最適化のため、薬理学的治療に加えて、非薬理学的介入(運動、心理的、教育的、自己管理)を考慮する。 | |
| 10. | 治療目標と管理の選択肢を患者に直接伝えるためには、適切な教育とサポートが提供されるべきだ。 | |
| 11. | 自信を持って病気を管理できるよう、自己管理プログラム、関連した教育、心理的介入などの提供を考慮する。 | |
| 運動 | |
|---|---|
| 1 | 運動の継続を強く勧める。(中程度) |
| 2 | 有酸素運動の継続を条件付きで勧める。(非常に低い~低い) |
| 3 | 水中運動の継続を条件付きで勧める。(低い) |
| 4 | レジスタンスエクササイズの継続を条件付きで勧める。(非常に低い) |
| 5 | 心身運動(心と体の両方を働かせる練習。バイオフィードバック、目標設定、瞑想、マインドフルネス、呼吸法、段階的筋弛緩法、誘導イメージなど)の継続を条件付きで勧める。(非常に低い~低い) |
| リハビリテーション | |
| 1 | 総合的作業療法を条件付きで勧める。(非常に低い) |
| 2 | 総合的な理学療法を条件付きで勧める。(非常に低い) |
| 3 | 手関節病変がある場合、ハンドセラピー練習を条件付きで勧める。(低い) |
| 4 | 手指や手関節病変や変形がある場合、副木、装具、圧迫を条件付きで勧める。(非常に低い) |
| 5 | 足趾や足関節病変がある場合、装具、整形器具、テーピングを条件付きで勧める。(非常に低い) |
| 6 | 膝病変がある場合、装具や整形器具の使用を条件付きで勧める。(適格な研究はない) |
| 7 | 関節保護を条件付きで勧める。(低い) |
| 8 | 一定の活動、エネルギー節約、活動の変更、疲労の管理を条件付きで勧める。(適格な研究はない) |
| 9 | 補助器具の使用を条件付きで勧める。(適格な研究はない) |
| 10 | 適応型機器の使用を条件付きで勧める。(適格な研究はない) |
| 11 | 環境に適応する用具を使用することを条件付きで勧める。(適格な研究はない) |
| 12 | 現在雇用されている、または雇用を希望している患者には、仕事に介入しないよりも職業リハビリテーションの利用を条件付きで勧める。(適格な研究はない) |
| 13 | 現在雇用されている、または雇用を希望している患者には、職場評価や変更を行うことを条件付きで勧める。(低い) |
| 食事 | |
| 1 | 特定の食事療法ではなく、地中海スタイルの食事療法の遵守を条件付きで勧める。(低~中程度) |
| 2 | 地中海スタイル以外の特定の食生活を遵守しないことを条件付きで勧める。(非常に低い~中程度) |
| 3 | 栄養補助品を摂取するより、栄養補助品を摂取せず確立された食事推奨事項を条件付きで勧める。(非常に低い~中程度) |
| 追加の総合的介入 | |
| 1 | 標準化された自己管理プログラムの使用を条件付きで勧める。(低い) |
| 2 | 認知行動療法や心身へのアプローチを条件付きで勧める。(非常に低い~低い) |
| 3 | 鍼治療を条件付きで勧める。(低い) |
| 4 | マッサージ療法を条件付きで勧める。(非常に低い) |
| 5 | 温熱療法を条件付きで勧める。(非常に低い) |
| 6 | 電気療法は条件付きで勧めない。(低い) |
| 7 | カイロプラクティック療法は条件付きで勧めない。(適格な研究はない) |
合併症を有する高リスクの関節リウマチ患者の治療に関してエビデンスレベルは低いが専門家の意見として2015年ACRから公表されており参照されたい。
| 1 | うっ血性心不全 TNF阻害剤より、DMARDsの組み合わせ、又は非TNF阻害剤、又はトファシチニブを使用する(moderate to very low )。TNF阻害剤治療中に心不全が増悪する場合には他のTNF阻害剤に変更するより、DMARDsの組み合わせ、又は非TNF阻害剤、又はトファシチニブを使用する(very low )。 |
|---|---|
| 2 | B型肝炎(HBsAg陽性HBsAb陰性) 有効性のある抗ウイルス療法中あるいは療法後であれば、通常の関節リウマチと同様でよい(very low)。未治療の慢性B型肝炎では免疫抑制療法開始前に抗ウイルス療法を導入する。既往感染(HBsAg−、HBsAb+、HBcAb+)では定期的にウイルス量をモニターしながら通常の関節リウマチの治療を行なう。 |
| 3 | C型肝炎(HCV陽性、HCVRNA陽性) 近年有効性の高い抗ウイルス剤が登場し、有効性のある抗ウイルス療法中あるいは療法後であれば、通常の関節リウマチと同様の治療でよい(very low)。有効性のある抗ウイルス療法を行なっていない場合はTNF阻害剤よりMTXやレフルノミド以外のDMARDs(スルファサラジンなど)を使用する(very low)。 |
| 4 | 治療の既往、又は未治療の悪性腫瘍に関しての証拠レベルは低く、主に専門家の意見や経験による治療既往又は未治療の皮膚癌では、生物製剤やトファシチニブよりDMARDsを使用する(very low)。 リンパ増殖性疾患の既往がある場合は、TNF阻害剤よりリツキシマブを使用する(本邦では保険適応なし)(very low)。あるいは、DMARDs、アバタセプト、トシリズマブを使用する(very low)。 固形癌の治療既往では、通常の関節リウマチと同様でよい(very low)。 |
| 5 | 重篤な感染症の既往 重篤な感染症の既往がある場合はTNF阻害剤よりDMARDsの組み合わせを使用する(very low)。TNF阻害剤からアバタセプトに変更して感染症リスクが減少したという報告もある(very low)。 |
不活化ワクチン(肺炎球菌、インフルエンザ、B型肝炎)や組換えワクチン(ヒトパピローマ)はDMARD単剤、DMARD複数併用、TNF阻害剤、非TNF阻害剤使用中でも接種を推奨する。50歳以上の関節リウマチ患者に生物製剤やトファシチニブを開始する前に水痘ワクチン接種(弱毒生ワクチン)を条件付きで推奨するが、水痘ワクチン接種後2週間は生物製剤を開始しない。TNF阻害剤や非TNF阻害剤使用中は水痘ワクチンを接種しない。(本邦では成人の予防接種に関しては通常は保険診療でない。またワクチン接種に際してはアレルギーの既往や他の合併症の有無にも注意が必要である。)