免疫疾患の解説一覧

多発性筋炎(多発筋炎) Polymyositis (PM) / 皮膚筋炎 Dermatomyositis (DM)

概要

横紋筋を広範に障害する炎症性筋疾患には、多発性筋炎、皮膚筋炎、免疫介在性壊死性ミオパチー、封入体筋炎が知られる。いずれも筋力低下をきたすが、筋炎症状のみが生じるものから皮膚症状が前面にでるものまで様々である。臨床的特徴、病理組織、免疫学的機序が異なると考えられ、鑑別には筋生検による凍結検体からの病理学的検討が必要となることがある。一般と比べ多発性筋炎では2倍、皮膚筋炎では3倍悪性腫瘍を伴いやすく、診断時には悪性腫瘍のスクリーニングが必要である。

多発性筋炎 polymyositis(PM)、皮膚筋炎 dermatomyositis(DM)

皮膚所見のない筋炎はリウマチ科では多発性筋炎と呼称するが、神経内科では多発筋炎と呼ぶことが多い。多発性筋炎、皮膚筋炎は、急性から亜急性に進行する対称性の四肢近位筋痛,筋力低下、筋酵素上昇を伴う炎症性筋疾患である。間質性肺炎、心筋障害、悪性腫瘍の合併がみられることがあり、これら合併症の重症度が生命予後を左右する。 男女比は1:3と女性に多い。わが国では多発性筋炎と皮膚筋炎合わせて有病率10万人当たり2~5人とされる。

症状

発熱、倦怠感、体重減少などの炎症による全身症状に加え、筋肉痛、四肢近位の左右対称の筋力低下により臥位から立ち上がりにくい(登攀性起立、ガワーズ徴候)、上肢が挙がりにくい、などの症状を自覚する。頚部筋の筋力低下により、枕から頭を上げにくくなる。嚥下障害をきたすことがあり、誤嚥性肺炎の発生に注意する。関節炎を伴い関節痛を訴えることもあるが、関節リウマチのような関節破壊はきたさない。抗ARS抗体陽性で特徴づけられる抗ARS抗体症候群では手荒れ様の角化性皮疹(メカニックスハンド)を伴うことがある。

皮膚筋炎では、手指関節背側、肘、膝の伸側などに見られる紅色皮疹・角化性紅斑(ゴットロン徴候)、手指関節背側の角化のつよい丘疹(ゴットロン丘疹)、上眼瞼の浮腫性紅斑(ヘリオトロープ疹)、胸や肩に広がる紅班(ショール徴候)などの特徴的な皮膚症状を伴う。こうした皮疹はかゆみを伴うこともある。

検査所見

筋肉の炎症により筋酵素クレアチンキナーゼ(CKまたはCPK)、アルドラーゼ(ALD)、ミオグロビンが上昇する。発熱とともにCRPなど炎症マーカーの上昇を伴うことがある。筋組織崩壊ではAST、ALT、LDHも上昇し、これらは治療薬(methotrexate、azathioprineなど)による肝障害時にも上昇するため鑑別が必要である。

MRI画像では、筋の炎症性浮腫を反映してSTIR像や脂肪抑制T2強調像で高信号を示す。筋電図では、筋原性の所見(随意運動時の低振幅電位、安静時の自発電位)がみられる。筋力低下部位、MRI有所見部位から筋生検を行う。多発性筋炎では、主に筋線維束の個々の筋線維周囲にCD8+T細胞優位な細胞浸潤とMHC class Iの発現亢進がみられ、筋線維表面の抗原を細胞傷害性T細胞が認識していると考えられている。皮膚筋炎では、筋線維束の辺縁部に位置する筋線維の萎縮が特徴的で、筋線維束周辺の間質、特に血管周囲にCD4+T細胞が比較的優位な浸潤を特徴とし免疫複合体などの液性因子の関与による血管炎が筋傷害に関与しているという報告がある。細血管を傷害し壊死性血管炎をみることもある。

多発性筋炎および皮膚筋炎の組織の図

多発性筋炎/皮膚筋炎に伴う間質性肺炎(胸部レントゲン、胸部CT、血清KL-6上昇などで診断)は、抗ARS抗体陽性例にみられやすく、non-specific interstitial pneumonia(NSIP)が多く、organizing pneumonia(OP)、usual interstitial pneumonia(UIP)などもあげられる。心筋炎や刺激伝導系障害から心不全、不整脈をきたすことがある。また、多発性筋炎/皮膚筋炎では、悪性腫瘍の合併率が高く、悪性腫瘍のスクリーニングを行うことが望ましい。

自己抗体

多発性筋炎、皮膚筋炎特異的自己抗体の研究により自己抗体の種類と臨床像や予後との関連が指摘されている。抗Jo-1抗体(抗ヒスチジルtRNA合成酵素抗体)は筋炎では15-20%で陽性となるが、他に抗PL7抗体(抗スレオニルtRNA合成酵素抗体)、抗PL12抗体(抗アラニルtRNA合成酵素抗体)、抗EJ抗体(抗グリシルtRNA合成酵素抗体)、抗KS抗体(抗アスパラギニルtRNA合成酵素抗体)の5種類のアミノアシルtRNA合成酵素(ARS)に対する自己抗体が抗ARS抗体として保険収載検査として測定される。他にARSに対する抗体として、抗OJ抗体(抗イソロイシルtRNA合成酵素抗体)、抗Zo抗体(抗フェニルアラニルtRNA合成酵素抗体)、抗Ha抗体(抗チロシルtRNA合成酵素抗体)抗体なども報告されている。こうした抗ARS抗体陽性例では筋炎のほかに高率に間質性肺炎を併発し、発熱、多関節炎、レイノー現象、メカニックスハンドなどの臨床的特徴を共通に認めることがあり抗ARS抗体症候群、あるいは抗synthetase症候群とも呼ばれる。

皮膚筋炎で報告された抗Mi-2抗体(ヒストン脱アセチル化酵素Mi-2 に対する抗体)陽性では間質性肺炎や悪性腫瘍の合併は少なくステロイド反応性が良いとされ、抗MDA5抗体(抗melanoma differentiation-induced gene-5抗体。以前は抗CADM140抗体とも呼ばれた。MDA5はウイルス由来の2本鎖RNAを認識するRIG-I様受容体の一つで自然免疫応答に関与)陽性では筋症状が少ないclinically amyopathic dermatomyositis (CADM)を呈し、その7割では急速進行性間質性肺炎を発症して予後不良となる。抗TIF1抗体(抗transcriptional intermediary factor 1抗体)には抗TIF1γ抗体と抗TIF1α抗体があり、本抗体陽性では悪性腫瘍合併率が高いとされ発症後1-2年は悪性腫瘍に注意する。抗Mi-2抗体、抗MDA5抗体、抗TIF1γ抗体は皮膚筋炎診断基準を満たす患者において保険収載検査となっている。

診断

多発性筋炎/皮膚筋炎の診断基準(厚生労働省2015年改訂)に基づく。鑑別として、CKの上昇を確認した場合、まず心筋梗塞や心筋炎などの重篤な循環器疾患を除外するため、心電図や心筋特異的なCK-MBの測定などにより早期に鑑別しておく。事故による外傷、熱中症、脱水、低カリウム血症、HMG-CoA還元酵素阻害剤などの薬剤、などによる横紋筋融解症で、筋痛、脱力を生じCKが著増することがある。体育会系の激しい運動でもCKが著増することがある。甲状腺機能低下症でもCK上昇するため、鑑別が必要である。また、成人発症の筋ジストロフィーなどでも炎症細胞の浸潤がみられることがあり、鑑別が必要である。高齢者でCKの上昇が数倍程度の場合は封入体筋炎も考慮する。ミオグロビン上昇はないが、CKが上昇する場合はマクロCK血症を疑う。免疫グロブリンがCKと結合し検査上の高値を示す。

PM/DMの診断基準:厚生労働省2015年

項目
1. 皮膚症状: ヘリオトロープ疹 or ゴットロン徴候 or ゴットロン丘疹
2. 上肢または下肢の近位筋の筋力低下
3. 筋肉の自発痛または把握痛
4. CKまたはALD上昇
5. 筋炎を示す筋電図変化
6. 関節炎・関節痛
7. 全身性炎症(発熱, CRP, ESR)
8. 抗ARS抗体(抗Jo1抗体を含む)
9. 筋生検(Degeneration, cell infiltration)

2017年EULAR/ACR成人と若年の特発性炎症性筋疾患(idiopathic inflammatory myopathies:IIM)の分類基準と主要サブグループ

症状や徴候をよりよく説明できる疾患がない場合、この分類基準が使用できる。

筋生検なしで合計5.5以上(感度87%、特異度82%)、筋生検ありでは合計6.7以上(感度93%、特異度88%)で特発性炎症性筋疾患とされる。

項目 生検なし 生検あり
発症年齢 疾患に関連すると思われる最初の症状の発現年齢が18歳以上40歳未満 1.3 1.5
疾患に関連すると思われる最初の症状の発現年齢が40歳以上 2.1 2.2
筋力低下 通常は進行性の上肢近位筋の客観的な対称性筋力低下 0.7 0.7
通常は進行性の下肢近位筋の客観的な対称性筋力低下 0.8 0.5
頸部伸筋より頸部屈筋が相対的に低下 1.9 1.6
下肢では遠位筋より近位筋が相対的に低下 0.9 1.2
皮膚症状 ヘリオトロープ疹 3.1 3.2
ゴットロン丘疹 2.1 2.7
ゴットロン徴候 3.3 3.7
臨床症状 嚥下障害または食道運動障害 0.7 0.6
検査所見 抗Jo-1抗体陽性 3.9 3.8
血清CK、LDH、AST、ALTなどの正常上限以上の上昇 1.3 1.4
筋生検 筋繊維内には侵入しない筋繊維周囲の単核球の浸潤: 1.7
筋周囲あるいは血管周囲の単核球の浸潤 1.2
筋束周辺部の萎縮 1.9
縁取り空胞 3.1
1 分類基準をprobable以上で満たし、初発症状が18歳以上で、
  1) 皮膚症状がなく、手指屈筋力低下があり治療反応性が乏しい臨床的特徴、あるいは筋生検で縁取り空胞がみられれば、封入体筋炎。
  2) 皮膚症状がなく、手指屈筋力低下や治療反応性が乏しい臨床的特徴がなく、筋生検で縁取り空胞がみられなければ、多発性筋炎か免疫介在性壊死性ミオパチー。
  3) 皮膚症状のいずれかがあり、筋力低下症状のいずれかがあれば皮膚筋炎。
  4) 皮膚症状のいずれかがあり、筋力低下症状がなければ無筋症性皮膚筋炎。
2 分類基準をprobable以上で満たし、初発症状が18歳未満で、
  1) 皮膚症状のいずれかがあれば若年性皮膚筋炎。
  2) 皮膚症状がなければ、若年性皮膚筋炎以外の若年性筋炎。

PM/DMの診断基準:Bohan & Peterの診断基準

項目
1. 四肢近位筋、頚部屈筋の対称性筋力低下
2. 筋原性酵素上昇(CK. ALD, AST, ALT, LDH)
3. 定型的筋電図所見
i) polyphasic, short, small, motor unit potentials
ii) fibrillation, positive sharp waves, increased insertional irritability
iii) bizarre high frequency, repetitive discharge
4. 定型的組織所見:筋線維の変性、壊死、萎縮、再生、炎症細胞浸潤
5. 定型的皮膚症状:ヘリオトロープ疹、ゴットロン徴候、関節伸側の落屑性紅斑

筋疾患関連がんスクリーニング

(推奨の強さ、証拠レベル、同意の中央値)

1 若年発症型IIMは、関連がんのスクリーニングはルーチンでは必要ない。(強い、中、8)
2 封入体筋炎は、関連がんのスクリーニングはルーチンでは必要ない。(強い、中、8)
3 すべてのIIM患者はがんリスクに関係なく、国または地域固有の年齢および性別に適したがん検診プログラムに引き続き参加する必要がある。(強い、中、9)
4 新たに発症したIIMのすべての成人患者は、がんリスクの層別化を支援するため、筋炎特異的自己抗体と筋炎関連自己抗体の検査を受ける必要がある。(強い、中、9)
5 成人発症IIM患者の潜在的がんリスクは、筋炎のサブタイプ、自己抗体、臨床的特徴で層別化する。(強い、中、8)
高リスク 皮膚筋炎、抗TIF1γ抗体、抗NXP2抗体、IIM発症時の年齢>40歳、免疫抑制療法でも高疾患活動性が持続(以前制御されていた疾患の再発を含む)、嚥下障害(中等度から重度)、皮膚壊死や潰瘍形成。
中リスク CADM、多発性筋炎、IMNM、抗SAE1抗体、抗HMGCR抗体、抗Mi2抗体、抗MDA5抗体、男性。
低リスク 抗synthetase症候群(ASSD)、重複IIM-CTD関連筋炎、抗SRP抗体、抗Jo1抗体、非Jo1 ASSD、筋炎関連抗体(抗PM-Scl抗体、抗Ku抗体、抗RNP抗体、抗SSA/Ro抗体、抗SSB/La抗体)、レイノー現象、炎症性関節症、間質性肺疾患。
6 成人発症IIMで高リスク因子2つ以上は「関連がん高リスク」。(強い、中、8)
7 成人発症IIMで中リスク因子2つ以上または高リスク因子1つのみは「関連がん中リスク」。(強い、中、7)
8 成人発症IIMで推奨6、7の「高」「中」リスク定義を満たさなければ「関連がん標準リスク」。(強い、中、8)
9 「基本がん検診」は、(国、地域固有の年齢や性別に適した一般がん検診プログラムに加え)以下の検査を含める。総合的な病歴、総合健康診断、血球、肝機能、血沈、CRP、血清タンパク質電気泳動と遊離軽鎖、尿検査、胸部単純XP。(強い、低、7)
10 「強化がん検診」は以下を含む。首、胸部、腹部、骨盤のCT、子宮頸部検診、マンモグラフィー、前立腺特異抗原、CA125、卵巣がんの骨盤/経膣エコー、便潜血。(強い、低、8)
11 「関連がん標準リスク」では、IIM診断時に「基本がん検診」を受ける。このスクリーニングは一般人を対象とした国や地域固有の年齢および性別に適したスクリーニングプログラムに追加される。(強い、NA、8)
12 「関連がん中リスク」では、IIM診断時に「基本がん検診」と「強化がん検診」を受ける。(強い、NA、8)
13 「関連がん高リスク」では、IIM診断時に「強化がん検診」と「基本がん検診」を受け、さらに「基本がん検診」を3年間毎年受ける。(強い、NA、8)
14 IIM診断時検査で基礎がんが検出されなかった「関連がん高リスク」では、PET-CTを検討する。(条件による、低、8)
15 40歳以上で発症、追加の「高リスク」臨床症状が1以上ある抗TIF1γ抗体陽性皮膚筋炎患者に単一のスクリーニング検査として、PET-CTを検討する。(条件による、低、8)
16 IIM診断時検査で基礎がんが検出されなかった「関連がん高リスク」は、上下部消化管内視鏡検査の実施を検討する。(条件による、非常に低、8)
17 上咽頭癌リスクの上昇地域では、成人発症IIM診断時に経鼻内視鏡検査を検討する。(条件による、非常に低、8)
18 リスクカテゴリーに関係なく、以下の危険症状や特徴を持つすべてのIIM患者に対してがん検診を考慮する。意図しない体重減少、がんの家族歴、喫煙、原因不明の発熱、寝汗。(条件による、非常に低、9)

特発性炎症性筋疾患(IIM)関連がんスクリーニングに関する国際ガイドライン推奨

治療

通常大量のステロイド薬(プレドニゾロン換算で0.75~1mg/kg)から開始し3-4週間維持したあと、2-3週間隔で10%づつ(もしくは週5mg程度づつ)減量する。ステロイド減量時に再燃するようなら免疫抑制剤(azathioprine、tacrolimus(多発性筋炎・皮膚筋炎に合併する間質性肺炎に適用)、cyclosporine(保険適用外)、methotrexate(保険適用外)など)を併用する。免疫抑制薬の併用がステロイド減量を容易にする場合がある。

難治症例に対しては、ガンマグロブリン大量静注療法を検討してよい。嚥下障害をきたすと筋炎沈静化後も障害が長く続くことがあり、免疫抑制薬の併用、ガンマグロブリン投与も含めた早期からの積極的治療を検討する。免疫抑制剤に抵抗性の多発性筋炎に対してtocilizumabの投与によって軽快した症例を当科より報告した。

悪性腫瘍、あるいは心筋障害や難治性間質性肺炎を合併すると予後は不良となる。悪性腫瘍合併では腫瘍の治療を行なう。筋症状を伴わない皮膚筋炎のCADMでは急速進行性の重篤な間質性肺炎を合併することがあり、早期にcyclophosphamide pulse療法を含む強力な免疫抑制療法を必要とし、場合によってはcyclosporineなども併用する。特にフェリチン高値を伴う場合は予後不良である。

ステロイド筋症の合併

治療に大量のステロイドを使用するためステロイドによる筋量の減少が見られることがある(ステロイドミオパチー)。CK値が正常化しているにもかかわらず筋力の回復が遅れる、あるいは筋力低下が進行する場合、ステロイドミオパチーの合併に気をつける。長時間作用性のフッ化ステロイドでおこしやすい。%クレアチン尿 = 尿中クレアチン(g/day) / [尿中クレアチン(g/day)+尿中クレアチニン(g/day)] を測定する。健常人では10%未満であるがステロイドミオパチーでは上昇する場合がある。経時的測定も大切である。この機序による筋力低下はステロイド減量によって徐々に回復する。

封入体筋炎: sporadic inclusion body myositis (sIBM)

概念

数ヶ月以上の緩徐進行性の経過をたどる炎症と変性を伴う筋疾患で50歳以上の男性に多く、多発性筋炎と誤診されやすい。難治性の多発性筋炎とされていることもある。多発性筋炎と異なり、初期では手指屈筋が侵され、ものを落としたり、ふたを開けにくいなどの末梢筋力低下による症状が目立つことが重要な特徴である。筋障害は左右非対称のこともある。大腿四頭筋も侵されやすく転倒や歩行時の膝折れを生じ、さらに嚥下障害や頭部保持の障害なども現れてくる。

検査

CPK値は正常から上限値の数倍程度で10倍を越えることはない。炎症マーカーの上昇はなく自己抗体も通常は検出されない。筋電図は筋原性あるいは筋原性と神経原性が混合する。MRIでは多発性筋炎は筋膜面での炎症信号が目立つが、封入体筋炎では筋全体に広がり、脂肪浸潤や筋の萎縮が目立つと報告されている。筋生検では多発性筋炎でみられるような主にCD8+T細胞浸潤による筋繊維の傷害と、空砲形成やアミロイド関連蛋白質の蓄積による変性の両方がみられる。凍結組織では筋線維の形質に辺縁好塩基性の空胞が確認できる。抗NT5C1A抗体(抗5'-nucleotidase, cytosolic 1A抗体)が本疾患で検出されることがある。

診断と治療

末梢筋力の低下と緩徐進行性の臨床経過とともに筋生検所見で診断する。治療では高用量ステロイドや免疫抑制剤(MTXやアザチオプリン)にて筋酵素が低下することはあるが、筋力の回復が得られず、筋力低下の進行を止めることが治療目標になることが多い。リハビリテーションを行ない、杖や歩行補助装具などを使用する。ミオスタチン受容体のアクチビンタイプII受容体阻害抗体(bimagrumab)などの有効性の治験報告もある。

2024/Feb, 2017/Dec, 2016/Nov, 2016/Feb, 2014/Nov, 2012/Aug